体温調節機構における神経ペプチドの作用に関する研究 : 特にイヌ脳室内投与による検討
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概要
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体温調節機構における神経ペプチドの作用を検討する為に,PP familyのneuropeptide Y (NPY) ,peptide YY (PYY),pancreatic polypeptide (PP)と,thyrotropin releasing hormone (TRH),cholecystokinin octapeptide (CCK-8),vasoactive intestinal peptide (VIP) をイヌ脳室内に投与し,その直腸温に及ぼす影響を観察した。NPYとPPについては,prostaglandin E_2(PGE_2)前処置による発熱状態における作用もあわせ観察した。イヌ側脳室内にカニューレを留置し,1.19nmolもしくはそれ以下の各種ペプチドを注入し,注入後3時間まで直腸温を測定した。NPY,PYYの1.19nmol注入により直腸温は速やかに,生食注入群に比して有意の低下を示したが,2時間以内に生食群より高値となった。NPYはPGE_2 5μg前処置による発熱状態でより著明な低体温作用を示したが,PPは平熱時,発熱時ともに体温に有意の影響を与えなかった。TRH とCCK-8 はともに高体温を惹起したがVIPは体温に有意な影響を与えなかった。TRH投与に際しては,身震い,流涎,多呼吸,排尿等の行動上の変化があらわれたが,CCK-8はこれらの変化を伴わなかった。これらの結果より,NPYとPYYはその構造上の類似性とともに,作用上,体温低下作用も類似性を示し,イヌにおいてNPY更にCCK-8 が,体温調節に関与する脳内神経伝達修飾物質として作用する可能性が示唆された。