Neuropeptide Y (NPY) の視床下部ー下垂体ー副腎系への作用に関する研究
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概要
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意識下のイヌを用いて,neuropeptide Y(NPY)の視床下部一下垂体一副腎系への作用について検討した。第III脳室内及び側脳室内にNPYを投与することにより,容量依存性にACTH-cortisol 分泌反応の促進が認められた。またPP family peptidesであるpancreatic polypeptide (PP),peptide YY (PYY)脳室内投与も同様にACTH-cortisol分泌を促進し,その作用の強さはPYY>NPY>PPの順であった。NPY(1.19nmol)の脳室内投与は,等モルのcorticotropin releasing factor (CRF) 脳室内投与に匹敵するACTH-cortisol分泌反応を促進したのに対し,静脈内投与では11.9nmolの高濃度でのみ弱い分泌促進反応を示した。単独では刺激作用を有しない濃度のNPY(0.119nmol)とCRF(1.19nmol)の脳室内併用投与により,ACTH-cortisol分泌に対して相乗促進的作用を示した。さらにCRF antagonist(130.9nmol)とNPY(1.19nmol)の脳室内併用投与では,NPYによるACTH-cortisol分泌促進反応を有意に抑制した。以上の結果から,NPYはイヌにおいてACTH-cortisol分泌反応を促進し,その主たる作用機序のひとつとしては,CRFを介する可能性が示唆された。
- 神戸大学の論文