1型糖尿病の発症機構に関する研究 : NODマウスにおけるマクロファージのインターロイキン1産生能について
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概要
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1型糖尿病の発症機構に液性及び細胞性免疫異常の関与が示唆されている。しかし,免疫反応の誘導に関与するマクロファージの機能,特に,インターロイキグ1(IL-1)の役割についてはまだ不明な点が多い。今回,我々は1L-1産生能の測定系を確立し,1型糖尿病のモデル動物であるnonobese diabetic (NOD) マウスにおけるマクロファージのIL-1産生能を検索した。その結果, (1)NOD及びICRマウス腹腔内浸出細胞のチオグリコレート刺激前後のマグロファージ陽性比率は22%から65%に増加した。(2)IL-1測定系における基礎的検討ではphytohemagg lutinin (PHA) 10μg/ml,ヒトrecombinant IL-1 (rIL-1) 10U/mlにおいて最大の反応を示した。(3)ヒトrIL-1標準曲線では,容量依存性に反応が増加し,25U/mlで、反応はplateauに達した。(4)腹腔内浸出細胞のIL-1産生能はNODマウスと比較して高値を示した。(5)マイトジェン刺激に対する脾細胞のインターロイキン2 (IL-2)産生能と外来性IL-2に対する細胞増殖反応は,共に,NODマウスがICRマウスに比し低値を示した。(6)NODマウス脾細胞中マクロファージの1L-1産生能はICRマウスに比し低値を示した。以上より,NODマウスマクロファージは,一方では抗原特異的なT細胞の活性化を誘導し,他方ではサプレッサーT細胞機能の抑制を介し免疫反応の冗進を導くという二面性を有する可能性が示唆された。
- 神戸大学の論文