シルト質地盤における潜かん沈下機構の研究
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概要
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本論文は非常に均質なシルト質地盤に潜かんを沈下させた場合の地盤の破壊状態の研究であって,先ず,本研究を行った地盤および土質の性状,殊は粒度,含水比,コンシステンシー等が極めて均一であり,力学的諸係数(内部摩擦角φ,粘着力cなど)は深さと共に一様に増大する傾向にあることを検討し,かかる地盤の力学的現象を考察する場合に採用すべきφ,cの値を示した。第2に,本研究を行った潜かん工事の概要を述べ,他の工法との比較を論じ,地盤の破壊による十数回の急沈下を径て硬層地盤に定着す 測定の方法およびその測定記録を記した。第3には,潜かん沈下の時の土の移動状況および辷りに関する観測記録と地盤の辷り現象の概要を述べ,この場合の載荷の状況は対称載荷版の支持力理論における片側部分に相当するものであるとして各種の土の理論と関連づけて検討した。又観測記録に徴して支持版端と刃型先端を結ぶ三角形部分の土は固定せられ,辷り破壊の上部の土は一定法測により移動し,辷り破壊面の下部の土は不動であり,しかも固定土と移動土とは境界面で剪断されて移動することを論じている。更にこれらの沈下時の辷り面の形状と位置について論じ,辷り面は対数螺旋を示し,累次の急沈下の最初の間は第1回目と同じ辷り面を踏襲するが終期近くなると新たな辷り面が発生することと考えられる。第4には辷り面の発生機構を理論的に考察したものでここではBussinesqの理論が近似に成立つことを確め地盤内応力の算式を誘導し応力分布にもとづいて著者が考察した辷り面の決定方法を述べその結果を実測結果と比較し述べた。第5では潜かん急沈下時の土の移動現象を解析したもので,土の粒子の運動を図式的に求める方法を提案し,それによる各部の土の移動が実測値とよく一致することを述べその結果から著者の土に関する考察を統一記述した。第6では,支持力理論による潜かん沈下時の力の釣合を検討するにシルト質地盤における沈下現象についてはTerzaghi並にTschebotarioffの支持力理論を適用する際の適用条件,適用範囲などを検討した。これを要するに本論文はシルト質地盤に潜かん工事を行う場合,その辷り面が対数螺旋状に発生することを確め,その辷り面を理論的に算出する方法を見出し,又この種非対称基礎版の支持力の算出法を明かにし,シルト質地盤における潜かん工法の設計並に施工に関する指針となるものと信ずる。
- 明治大学の論文
著者
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