ヒト赤血球 Insulin-degrading enzyme (IDE) のラジオイムノアッセイ系の確率とその臨床応用
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
インスリンに高親和性を有するinsulin-degrading enzyme (IDE) は,中性の至適PHを有し分子量30万からなる蛋自分解酵素である。各種組織可溶性分画に存在するIDEは,インスリン代謝において重要な生理的意義を有すると考えられている。我々はIDEを種々の組織より精製しその特性について検討してきたが,ヒト組織中のIDE濃度を測定した報告は今までに認められず,糖尿病の病態にIDEがどのように関与しているかは現在のところ明らかでない。今回,ヒトIDE に対歩る単一クローン性抗体を用いヒト赤血球よりIDEを精製,さらにSandwich法によるヒト赤血球IDEに対する高感度のradioimmunoassay(RIA)系を確立した。本RIA系の測定感度は40ng/ml〜40μg/ml,C.V.値はintra-,inter-assayで各々1.9〜3.2%,6.9〜7.0%と良好であった。また,本法にて得られたIDE測定値とそのインスリン分解活性との間にはr=0.99の良好な相関関係が認められた。本法を用いて各種治療を受けている糖尿病患者における赤血球IDE値の測定を試みたところ,インスリン治療群において健常人に比し有意な高値を示したが,他の治療群(食事療法,経口血糖降下剤治療)では有意差を認めなかった。以上より,外因性インスリン投与によるIDEの増加がインスリン抵抗性の一因となる可能性が考えられ,本RIA系はIDEの糖尿病における病因的及び病態的関与を明らかにする上で有用な手段になり得ると恩われる。
- 神戸大学の論文