Diethylnitrosamine投与ラット肝細胞癌モデルにおける血管構築および免疫組織化学的検討
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概要
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目的:富血管性腫瘍である肝細胞癌hepatocellular carcinoma(HCC)の増大に伴う血管新生にはvascular endothelial growth factor (VEGF)とそのレセプターが重要である。ラット肝細胞癌モデルを用いて腫瘍の血管構築を明らかにし,VEGFとの関連を検討した。 材料および方法:diethylnitrosamine (DEN)投与発癌ラットで樹脂注入血管鋳型標本(n=40),免疫組織化学的検討(n=60),マイクロダイセクションでのreal time PCR法(n=14)にて検討した。結果:血管鋳型では,過形成結節hyperplastic nodule (HPN)の類洞は拡張し,高分化型肝細胞癌(HCC well)の粗で直線的な網目状血洞へ移行し,中分化型肝細胞癌(HCC mod)では大きな不規則な血洞であった。免疫組織化学的検討では,抗VEGF染色はHPN,HCC modは陽性,HCC wellは陰性。抗kinase domain region fetal liver kinase 1 (Flk-1)染色はHPN,HCC well,HCC modで一部陽性。抗glutathione S-transferase-P (GST-P)染色はHPNでは陽性,HCC、wellとHCC modでは陰性であった。Real time PCR法では,VEGF,Flk-1の発現はHPNとHCC wellで同程度,HCC modでは高値であった。GST-PはHPNとHCC modで高値であった。結論:HPN,HCC well,HCC modの微細血管構築は,免疫組織化学的にはVEGFとFlk-1がオートクリン,パラクリンに作用して,リモデリングを進行させていたと思われ,特にHCC modへの脱分化にはVEGFとレセプターが大きな要因を占めていた。また,VEGFとGST-Pでは細胞レベルでの形質が変化していた。
- 2004-11-01
著者
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