日本産しびれえい(Narke japonica)の胎児の放電について
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概要
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体長89mmの日本産しびれえい(Narke japonica)の胎児について,頭部の機械的刺激,中枢および電気器官の神経に対する電気的刺激等を加え,板状又は針状電極をもちいた種々の誘導方法によりその活動電流をブラウン管オッシログラフに導いて記録し次のよぅな結果を得た。1.しびれえい胎児の電気器官の背腹又は背側の皮膚からの誘導により得られる放電電圧は0.1〜0.5Vから3〜4V程度であり,電圧の小さいものは単相性の活動電流であり,大きいものは2相性又は多相性で,多くの場合陽性後電位を伴う。2.成体の場合はその放電の様相は単相性のものが周期的にあらわれ一定の間隔をおいて数回繰返えされることがしばしばあるが,胎児の場合はこのような反復性の放電は観察されなかった。3. 又成体の場合単相性の第一次の放電に引続き二次性放電を伴うことがよくあるが,胎児の場合はこのような二次性の活動電流は見られなかった。4. 自然放電においても単相性のものが,かなりの間隔をおいて散発する程度で周期的なものや二次性放電は見られなかった。5. 胎児の電気器官より出される3〜4Vの放電は,容量は小さくても外敵に対する短時間の防禦的効果はあるものと推定され,生態的に或程度の意義を持つものと考えられる。
- 千葉大学の論文