HER2を過剰発現する膵癌に対するHerceptin (trastuzumab), 5-FU (5-fluorouracil)併用療法の細胞傷害効果
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概要
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HER2(human epidermal growth factor receptor 2)は細胞膜貫通型チロシンキナーゼ受容体であり細胞の増殖,分化に関与している.膵癌の19.6〜47.6%にHER2過剰発現が認められるがHerceptin(trastuzumab)の有効性や化学療法との併用効果に関しては不明である.今回,ヒト膵癌培養細胞株TRGを用いてHerceptinと5-FU(5-fluorouracil)の細胞傷害効果および併用効果をin vitroで検討した.TRG細胞はRT-PCR,Flow cytometryでHER2過剰発現が認められた.TRG細胞にHerceptinまたは5-FUを処理するとそれぞれ濃度依存性の細胞傷害効果が認められた.Herceptinと5-FUを併用処理するとそれぞれ単独処理よりも強い細胞傷害効果が認められた.Herceptinの抗体依存性細胞傷害活性(ADCC)を分析するためにTRG細胞にHerceptinまたは5-FUを処理した後,末梢血単核球(PBMC)を作用させた.PBMCの添加によりHerceptin,5-FUの細胞傷害効果は増強されたがHerceptinの方が増強効果が強く,ADCCの関与が示唆された.TRG細胞に5-FUを処理するとTRG細胞のHER2発現量が増加した.その結果Herceptinの細胞傷害効果が増強され5-FUとHerceptinの併用効果が得られたと考えられた.今回の研究でHerceptinと5-FUの併用療法はHER2を過剰発現する膵癌に対して有効な治療法となりうる可能性が示唆された.
- 横浜市立大学の論文
- 2005-03-31
著者
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