人工呼吸管理症例における呼気一酸化窒素測定方法に関する検討
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概要
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一酸化窒素(nitric oxide:NO)はガス状メディエータとして,生体内反応に関与すると考えられ,特に炎症反応の制御に重要な役割を呈していることが明らかにされてきた.気道内で産生されるNOは呼気中に検:出されるため,その濃度を測定することは気道内での炎症の指標になりうる.特に気管支喘息の重症度評価では,すでに臨床使用されている.また,急性肺障害の早期診断に有効であるとする報告がされ,周術期,集中治療領域で応用できる可能性が示唆されている.呼気NO測定方法の要点は呼気流速を一定に保っことにあるが,従来の人工呼吸管理下で,呼気流速を一定にすることは難しく,確立された測定方法は存在しない.本研究の目的は,人工呼吸管理下での呼気NOの産生部位が推定できる測定法を確立することとし,その方法として人工呼吸回路に気道抵抗を加え,breath-holdingを併用した換気モードで測定することにより炎症部位診断を可能とする波形が得られるとの仮説を立て,研究を行った.全身麻酔下に手術を予定された5症例を対象とした.それぞれの症例で通常の換気モードと気道抵抗を加えbreath-holdingを併用した換気モードで測定を行った.結果,人工呼吸回路に気管チューブによる気道抵抗を加えて呼気流速の変化を少なくし,breath-holdingを併用した換気モードで測定することにより,炎症部位診断を可能とする波形が得ることができた.本方法は,呼気NO濃度測定から産生部位診断を含めたNO産生量を推定可能にし,single breathでの測定として有用であると考えられた.今後,連続モニタに応用可能な方法の開発と病態による波形や産生量の変化に関しての研究が必要であると考える.
- 2005-01-31
著者
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