青年期の不安の変化 : 12年前との比較を通して
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1)青年期の不安の特徴について,12年前にCAS不安診断検査とSTAI不安検査を用いて検討し,前期に高かった不安は,中期から後期にかけて減少していくことを確認し,その上でさらに男女や因子別の特徴について述べた。そこで今回は変化が激しいといわれる現代青年において,前回の諸結果が該当するか否かを同じ方法で検討することにした。2)対象は,青年期前期である中学生,中期である高校生,後期である大学生とし, CASおよびSTAIを施行した。3)両テストから,前回と比較して不安の量に変化はみられなかったが,女子の場合,青年期の発達とともに不安を減らしているが,因子別にみると,パラノイド傾向や罪悪感の大きい人が大学生の女子において増えており,女子青年期の臨床的問題として取り上げる必要性を述べた。4)他方男子の場合は,人格の統御や欲求不満からくる不安の高い人が大学で増える傾向にあり,女子とは違った面での大学生の精神保健的な対応が望まれる結果となった。5)STAIから,女子は状態不安,特性不安とも青年期が深まるにつれて不安を減少させる傾向にあるが,男子の場合,大学年代の発達を待たないと減少させられない傾向が今回目についた。6)これらの諸結果について,今の青年がおかれている状況や,青年期課題との関係も含めて考察を加えた。
- 2005-03-31