小児自閉症の言語障害に関する考察
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概要
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68名の自閉症児(2才5月〜10才10月)の言語,および関連能力(身ぶり表現,象徴機能,社会性〉を調べ,自閉症児の言語障害の構造を検討した。言語発達の分析では,疑問詞表現の遅れとエコラリアの存続傾向との2点を除き,健常児とほぼ同じ発達過程をたどることが分かつた。人称代名詞の出現の遅延は,言語発達の緩徐さの程度に対応していた。さらに,言語と関連能力の関係の調査結果をもとにして,自閉症における言語障害の外延を論じたが,言語発達障害などの自閉症児の神経心理学的機能の発達の障害を,ただちに,中枢神経系の障害の反映である,と説明しがちな近年の自閉症研究動向への疑問を,筆者は表明した。
- 神戸大学の論文