国法としての国際法と憲法 : 公共空間の融合する時代における「法の支配」の実現(<特集>「法の支配」の現代的位相)
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概要
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国際法は,人権の最低基準を,各国の国内で遍く貫徹されるべき普遍国際法と位置づけるようになった.そして,従来,国内体制の性格を問うことなく干渉を禁止してきたのに対して,現在では,国内体制が普遍国際法に系統的に違反し続ける場合には,普遍国際法に適合する体制を構築させることを目的とする介入を許容するようになった.このような国際法の機能の変化は,国内法に対する国際法優位の一元論が事実的な基盤を獲得したことを意味する.憲法秩序は普遍国際法を満たすかぎりで国際的に保障される「開かれた秩序」となり,国法は国際法と憲法以下の国内法とから構成されると理解すべきことになったのである.本稿は,国際法形成過程および国内法形成過程-より正確には,両過程が相互干渉し合う国境横断的法形成過程という1つの過程-によって形成される国法の全体的な理解を目指す国法学の構築を提唱し,その観点から,日本国憲法の解釈に係わる3つの論点を取りあげる.
- 東京大学の論文
- 2005-03-30