「孤立した少数者」としての外国人 : 9・11後のアメリカにおける「法の支配」の一断面(<特集>「法の支配」の現代的位相)
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概要
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同時多発テロ後のアメリカにおいてはさまざまな面で市民的自由が切り詰めら札「法の支配」が根本から掘り崩される事態が生じている.諸々の手続や処分が秘密裡に進められる傾向が強まり,外国人に対する差別的な取扱いも横行しつつある.「法の下の平等」というアメリカ的価値の基盤にも罅が入りはじめている.このような中,2004年の合衆国最高裁判決Rasul v. Bushは,アフガニスタンなどで身柄を拘束された後,キューバ国内の米軍基地に移送され,弁護士の援助も裁判所へのアクセスも認められなしまま施設に収容されていた「敵性戦闘員」らに人身保護請求を提起する権利を認めた.権力に対する法的歯止めの必要性を否定するかのようなブッシュ政権の対応に警告を発したものであった.他方,他の分野や下級審の動きに目を転じれば,外国人の取扱いをめぐって裁判所や裁判官の間に意見の対立があることもまた見て取れる.アメリカにおける「法の支配」は今後,同時多発テロの衝撃から緩やかに立ち直り,裁判官らの紡ぎ出すさまざまな判決に彩られながら,長い時間をかけて織り成され続けてゆくものと思われる.
- 東京大学の論文
- 2005-03-30
著者
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