合併規制の根拠からみた混合合併の規制基準 : 経済法学からの検討(<特集>経済法・経済規制と産業組織)
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概要
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混合合併(Conglomerate Merger)は,水平合併とは異なり,同じ市場に属する競争者の減少をもたらすものではないため,市場構造に直接影響を及ぼすものではない.加えて,混合合併は,(1)生産費用の削減,(2)取引費用の削減,(3)外部性の解決(二重限界性の排除)といった理由で,水平合併に比べ効率性を向上させる可能性が高いともいわれている.混合合併が市場競争に与える影響が必ずしも自明でなく,かつ一般に効率性を向上させるものであるとすると,そもそもなぜ混合合併は規制されなければならないのかという素朴な疑問が生じうる.本稿は,合併規制の目的(趣旨)にさかのぼって論じることにより,かかる疑問に答えようとする.わが国では,日本の近年の独占禁止法第4章関係の届出等をみても届出件数において混合型は20〜30%を占めており,混合合併規制は今後ますます重要になると考えられる.あるべき規制基準の構築のためには,その前提として,規制の目的に関する位置づけの議論が欠かせない.本稿では,合併規制の目的は帰結主義的評価だけでは正当化しえない多元的なものであり,混合合併規制の役割もかかる多元的な目的から位置づけられるべきものであると論ずる.最後に,混合合併の違法評価基準について検討を行っている.
- 2005-03-10
著者
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