悲劇の紛争(<特集>冷戦終結と内戦)
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概要
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冷戦終結後,アフリカは「紛争の大陸」と化した.紛争の数が多いだけではない.紛争の犠牲者の数も突出して多い.どうしてだろうか.しばしば,アフリカ(サハラ以南アフリカ)諸国が多民族国家であることがその理由のようにいわれるが,そうではない.民族数と国内紛争の間に際立った相関関係はなかった.それよりも,広い意味での「貧困問題」と「以前の紛争の記憶」の方が,国内紛争に影響があるという結果がみられた.他地域と比べてアフリカの紛争の犠牲者が多い理由については,同朋意識の欠如,大国の介入の多さ,大国に支えられた少数支配,国家の崩壊,貧困による現状への不満が生んだ「紛争の大衆化」,武器の流入,天然資源紛争といった原因をみることができた.これらの理由の多くは,アフリカ人だけの責任に帰すことができないものばかりである.大国及び資源に群がる多国籍企業の責任は大きい.武器の製造・販売国への規制も不可欠だろう.アフリカの側も,平和的に問題を解決するというコンセンサスを築き,富の再分配を徹底することにより,民衆の生活向上をはかるべきである.
- 東京大学の論文
- 2004-03-19
著者
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- 楠瀬佳子著『ベッシー・ヘッド 拒絶と受容の文学 アパルトヘイトを生きた女たち』第三書館, 1999年, 359頁, \2,500
- 政治学
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