国内統治を問う国際規範の形成過程(<特集>冷戦終結と内戦)
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概要
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冷戦の終結後,国際干渉を正当化する国際規範が確立された.そもそも冷戦期には,国際人権規範が確立されていたが,実際には,多くの国でその規範は履行されず,受容されなかった.それは,内政不干渉規範を優先するような国際政治状況があったからである.ところが冷戦が終結すると,国内統治の在り方を問い,途上国への民主化支援,予防外交,人道的干渉,紛争後平和構築,グッドガヴァナンス促進に向けた干渉など,国際干渉かにわかに始まる.その背景には,旧来の国際規範の変容または組み替え,それに新たな平和・安全保障観の形成がある.国連と欧州安全保障協力機構(OSCE)を中心に,民主主義および法の支配の実現を国際規範化する動きが生じて,またグッドガヴァナンスを国家基準とする動きが生じ,そして民主主義や人権尊重を国際平和・国際安全保障の条件とするような新しい国際平和・安全保障観が主として欧州で形成された.こうした国際規範および国際安全保障観に基づいて国際干渉が正当化されるようになる.
- 2004-03-19