市場と企業家活動 : 橋本寿朗『戦後日本経済の成長構造』をめぐって(<特集>90年代の日本経済再考)
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概要
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本稿は,橋本寿朗『戦後日本経済の成長構造』を中心に,橋本が経済発展のダイナミズムを描く方法として模索した企業家活動の捉え方をめぐって,なぜ,橋本がそうした観点に立つに至ったかを,『大恐慌期の日本資本主義』から「20世紀システム」に至る,その研究の展開を追うなかで検討する.発展のエンジンとしての企業に注目することになる橋本の視点が,戦後日本経済の分析ツールとして利用されていた標準的な経済学の枠組みに対する正当な疑問に基づいて,この数年間に新しい展開を模索していたことを示し,それの研究史上での意味を,橋本が準拠したカーズナーやミーゼスの考え方に基づきながら検証し,それがシュンペーター的な企業家論とは明確な一線を画すべきものであったこと,しかし,その点についての橋本の言明はあまり明快ではなく,これを継承発展していくためには,「創造的反応」と「創造的適応」との関連などを,より的確な分析ツールとして明確化していく必要があることを指摘する.さらに,その企業家活勅諭に基づくアプローチに関わってなお残されている問題点を明らかにする.
- 2003-03-31
著者
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