内戦化する世界 : 現代武力紛争法の歴史的位相(<特集>国際関係法研究動向レビュー)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
「内戦」は主権国家の内部で起きる戦争だとされる.しかし,国際的テロリズムの影響の増大に見られるように,今日,主権国家体系からの説明能力が減じていることから考えると,むしろ,世界全体が「内戦化」しつつあると把握し直してみる価値がある.歴史的に概観するなら,内戦を統御する目的・過程で近代国家が誕生した.一般には,国家間のルールたる「国際法」が存在し,その一分野としての武力紛争法があると理解されているものの,近代国家の成立事情からすると近代国家とは武力紛争法そのものだと言える.そして,紛争が極地化されずに国家全体へと拡張する総力戦,恒常的国際紛争としての冷戦,恒常的・潜在的内戦としてのテロを経験する過程で,世界は再び「主権」を国家に独占させない近代以前の状況へと回帰している.このことが,人権法と人道法の接近や国際刑事法の発展という今日の武力紛争法の展開と関わっている.
- 2003-03-31