社会学におけるネットワーク・モデル(コネクショニズム) : その方法と関連領域から可能性を探る(<特集>コンピュータとネットワーク時代の社会科学)
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概要
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脳と心に関する研究が多くの学問分野から注目されるようになってから,一方では,既存の学問分野では対応できないという理由で,新たなディシプリンが生れた.たとえば「認知○○学」と称される分野(認知言語学,認知人類学,認知神経科学,認知心理学,認知人間工学,認知行動生物学,など)は,その誕生は決して新しくはないが,ここ10年に注目を浴びた分野であるといえる.一方,新たな分野の開拓ではなく,既存の分野の中で,脳と心のメカニズムを中心に据えるという,新たなパースペクティブ,アプローチ,方法論,モデルなどを目指す流れも起きている.本論文は,どちらかといえば後者に当たるが,脳と心の低次レベルを想定したコネクショニズム・モデルを,社会学の一つの方法論として位置づける試みである.しかしこれも,決して新しい流れではなく,コネクショニズムと言わずにすでにコネクショニズム的なモデルも存在していることに注意を払い,さらに,社会学と密接な関係にある領域,とりわけ哲学の分野からはヒュームの構想,心理学の分野からはユングの構想を,コネクショニズムの視点から検討するかたちで取り入れる.また社会学の既存のアプローチからは,エスノメソドロジーがすでにこのモデルの原型をなしているものとみなし,新たな止揚を模索してみる.最後に,行為と意味を説明する際,コネクショニズム・モデルにはどのような特徴があるのかを簡単にまとめる.
- 東京大学の論文
- 2003-03-31
著者
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