大衆化のなかの情報化社会論(<特集>コンピュータとネットワーク時代の社会科学)
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概要
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1990年代前半からさかんに語られた情報化社会論は,その多くが「技術が社会を変える」という技術決定論的な立場をとっていた.この技術決定論に対してはさまざまな批判があり,現在の情報化社会論は,「技術を決定するのは社会である」という社会決定論的な認識から,技術決定論に対して一定の距離をおき,技術決定論批判を取り込むかたちで議論を展開している.この技術決定論への距離のとり方にはいくつかのパターン,形式があるが,最終的には技術決定論に回帰する傾向にあり,そこには遅延された技術決定論と,素朴な社会決定論との相互依存的な関係が見られる.本論は,現在の情報化社会論の主要な論点を取りあげ,この技術決定論の留保と回帰の形式を分析し,その問題構成および,それらが前提とする認識,そしてその問題点を明らかにすることを目的とする.
- 2003-03-31