日本のコンピュータ産業の発展過程 : 1960年代,事務用小型機を中心に(<特集>コンピュータとネットワーク時代の社会科学)
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概要
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初期の日本のコンピュータ産業は,急成長する内需に依存して発展した.そこで,本稿ではその内需をいかに国産機が獲得したかを,コンピュータ利用の変化とメーカーの対応に着目し,(超)小型機を対象として明らかにした.1960年代,日本のユーザーの一部は,コンピュータ導入に対する不安から廉価な小型機を望み,国産メーカーは,PCSや会計機並の低価格でより高機能の小型機で新市場を開拓する.ここには,ライバルとなる外国機が存在せず,また,小型機ユーザーは経済成長に伴い上位機種へ移行する例も見られ,国産メーカーにとって有利な市場であった.富士通は,この小型機で売上を伸ばし,それを上位機種につなげコンピュータ市場全体のシェアを拡大した.日本電気は,超小型機で成功したが,提携先(ハネウェル)や販売店の都合で,それを上位機種につなげることができなかった.目立製作所は,小型機の自主開発も試みたが,提携先(RCA)や上層部の判断で,製品投入のタイミングを左右され,思うようにシェアを拡大できなかった.
- 2003-03-31
著者
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