中国国有企業の所有制度再編 : 大企業民営化への途(<特集>WTO加盟後の中国)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
中国の国有企業改革は1990年代半ば以来,中小・中堅企業の民営化と大企業の株式会社化・株式上場という二本立ての路線で進められてきた.だが政府あるいは母体国有企業が筆頭株主として君臨する上場企業の資本効率は低い.上場によって直接金融のチャンネルが開けたことは,むしろ非効率な規模拡大を許す結果を招いている.2001年には年金基金補填の原資調達問題を契機として,国有株売却政策が始動した.これは長期的には国有大企業の民営化につながるプロセスである.新たな段階の企業改革は,どのような課題に直面するのだろうか.こうした問題意識に基づき本稿では,第II節で民営化の流れを概観する.第III節では上場企業に焦点を当て,家電産業に属する国有系・集団所有系上場企業28社をサンプルとする計量分析を行い,所有構造と資本効率の関係を探る.第IV節では今後の国有大企業民営化の方向を展望する.
- 東京大学の論文
- 2003-03-31