ドル体制とアジア太平洋地域相互依存(<特集>政治分析のフロンティアと現代日本の政治変動)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
アジア太平洋地域の国際金融体制は,貿易取引,資本取引,外貨準備などにおいて大きくアメリカドルに依存しているという意味で,一般的に「ドル体制」と言われる.本論は,このドル体制が,1980年代以降,日本経済の債権国化,アジア経済の急成長,さらに中国経済の台頭といったアジア経済ダイナミズムの中でもなぜ継続しているのかという問題意識の下に,既存の関連文献を概観するとともに,アジア太平洋地域の国際金融関係は,貿易,投資を含む域内相互依存関係を分析する必要があることを示す.より具体的には,日本を含めたアジア諸国が採用してきた為替政策そしてその帰結である地域金融体制を理解するには,第一に,アジア諸国の輸出主導型経済開発,第二にアジア製品を吸収するアメリカ市場の存在,そして第三に,日本からアメリカおよびアジア諸国に対する資本輸出という三つ経済相互依存関係の連関を分析する必要があることを提示したい.近年の中国の経済的台頭がドル体制に与える影響も,この相互依存関係にどの程度中国が取り込まれているかという視点から検討される.
- 2003-03-31