「中国の台頭」と同盟理論(<特集>政治分析のフロンティアと現代日本の政治変動)
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概要
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本稿は,冷戦後のアジア太平洋地域における「中国の台頭」に対して,日米両国が同盟を通じてどのように対応し,そのことが地域における紛争の可能性にいかなる影響を及ぼすかという問題をとりあげ,従来の同盟理論に再検討を加え,90年代に生じたさまざまな出来事を説明した主要な議論を整理しつつ,理論と現状分析の結びつきを探ることを目的とする.中でも,同盟の抑止効果に着目したJames Morrowのモデルをとりあげ,冷戦後のアジア太平洋地域に支配的な不確実性のもとでの日米対中国の戦略関係をこのモデルに基づいて分析することの可能性について議論する.これを通じて,冷戦後の日米同盟の「強化」の意義や,冷戦後唯一の超大国となったアメリカを同盟相手国にもつweakerallyの抑止戦略とそれにもとづく行動選択の可能性を明らかにすることができるであろう.
- 2003-03-31