対抗措置制度における均衡性原則の意義 : 均衡性原則の多元的把握へ向けての予備的考察
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概要
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均衡性原則に関しては対抗措置制度の要諦としてその重要性が強調される一方で,その不明確さが従来から指摘されてきた.一般に学説は同原則を論じるに際し,1928年のNaulilaa事件仲裁裁決で示された定式に従い,均衡性を先行違法行為と対抗措置との比較として捉えてきた.しかし,武力不行使原則と平和的紛争解決原則を紛争処理の基本原則とする現代国際法において,依然として戦間期に示された定式において均衡性原則が捉えられると考えることは難しい.それ自体が一つの紛争処理手続とされていた伝統的国際法における平時復仇制度とは異なり,現代国際法上の対抗措置制度は紛争処理を促し,平和的に紛争を処理・解決するための補助的手段として認められる.そのような制度において妥当する均衡性原則は,紛争処理過程において対抗措置を要請する必要性と,執られる措置がその限界内に留まるか否かを判断するための判断枠組みの対応関係として捉えられなければならない.
- 東京大学の論文
- 2003-01-30
著者
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