ユーロ経済とEUの基礎(<特集>ヨーロッパ統合研究への新たな視座)
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概要
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欧州経済通貨統合(EMU)の準備と統合への参加の過程を適じて,大部分のヨーロッパ諸国はそれまで長らくとってきた統合へのアプローチを転換させた.国際的資本移動の重要性の高まりに対応して,ヨーロッパ諸国は従来の貿易重視の規制(緩和)政策(これはマクロ経済の不安定を伴った)から,金融財政政策に対する厳しいルールを設ける体制に転換したのである.短期的には相互不信と政策上の膠着状態はあったものの,マクロ経済的安定と民間市場への介入抑制というこの新たなコンセプトは,(地域的)資本移動を促進し市場における民間のイニシアティブの余地を拡大することによって経済成長の可能性を拡大することになる.このようなミクロ経済的整合化から,マクロ経済的整合化へのコンセプトの転換は,安定と成長を必要としている他の国々にとっても重要な手本となるであろう.しかしながら,通貨統合自体を他の地域でそのまま経済安定のための青写真として用いることは極めて困難であろう.
- 東京大学の論文
- 2003-01-30