ヨーロッパ化する党派政治空間 : 「第三の道」の欧州テスト(<特集>ヨーロッパ統合研究への新たな視座)
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概要
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EU研究では脱国民国家化と国益のいずれを強調するにせよ,領域的な関心が中心となってきたのであるが,近年「党派政治アプローチ(partisan approach)」が現れている.公共空間がヨーロッパ化した状況では,党派政治もまた国内政治から欧州委員会,欧州議会,脱国家利益団体,社会運動等,多次元にわたる.従来政府間関係ととらえられてきた政治指導者関係の中にも,党派政治の発展形態を見出すことができる.そのような例として,ブレアの「第三の道」が同盟をつくり出し,欧州の社会民主主義勢力を再編しようとした戦略がある.だがそれは必ずしも欧州社民・労働勢力の間にコンセンサスを構築できず,むしろブレアは,限りなく「右派」に近い政治家という批判も受けることになった.このような限界は,欧州政治指導者空間における党派政治の発展可能性を直ちに否定するものではなく,党派政治の前提となる現実認識と選択肢の「言説」の未整合を指摘できる.
- 2003-01-30
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