EUの特異性と規範の進化(<特集>ヨーロッパ統合研究への新たな視座)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本稿の目的は,EUの特異性に対して一つの研究方針を立てることにある.この特異性は,列柱構造化により国家的包括性を帯びるEUの機能的拡張が,「非」国家的構造に支えられている事態に見出される.国民国家モデルに即してEUを把握する以上,これは,EUの存在自体の正統性が未成熟な社会契約と中途半端な国家同意に拠ることを意味し,民主的欠陥の源泉として見ざるをえない.特異性が孕むこの問題性は,連邦国家形成過程で克服される過渡期的現象としても,国家連合への修正により治癒さるべき病理としても捉えられない.ポスト・ナショナルな政体形成の胎動を探ることが要請される.こうした方針を立てる場合,国民国家モデルに拠らずにEUを特徴づける概念枠組みが求められる.本稿はその一試論として,規範進化のアリーナとしてのEUの実績を重視し,その脱国民国家モデル的理解を進めるべく,社会構成主義の立場から,規範進化の現象をディスコースの交換・集積に還元する概念枠組みを提示する.
- 2003-01-30
著者
関連論文
- EUの特異性と規範の進化(ヨーロッパ統合研究への新たな視座)
- EUガバナンスの研究と言説構成論の試み
- EC環境立法の展開と共通意味世界の構成 : 社会構成主義の観点から
- EU研究における統治(Governance)論の射程
- Governance, Legal Order, and Social Integration : Reviewing New Governance Approaches in EU Studies
- EUの政治システムをめぐる問題状況
- COMMENT(EUにおける越境的協力の課題と展望 : インターレグとEU Spatial policy(空間政策)を中心に,第4分科会:地域協力,第11回研究大会報告要旨)