「モリス対UK事件」の概要 : 2002年2月26日付ヨーロッパ人権裁判所判決
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概要
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イギリスにおいては,軍隊に関する指揮命令権は国王大権の下にある.一方で内閣総理大臣が国王に代わってそれらの権限を行使しているという現状から,シビリアンコントロールが確立しているとの評価が定着しているが,他方で,保守党・労働党の間で政権交代がおこなわれても,軍隊内の問題に関する変化はほとんど生じてこなかったとの指摘もある.軍隊内の問題は,軍隊の"自治"に任されていたのであり,軍隊内の規律維持に不可欠な軍法会議制度に関しても,1951年に軍法会議控訴院を設立し,文民である裁判官によるチェックを導入したが,そのチェックの有効性に関しては疑問視する意見が強い.このような現状に対し,「風穴をあける」役割をはたしているのが.ヨーロッパ人権裁判所である.
- 2004-02-27