IL-18は粘膜型肥満細胞を活性化することで腸管寄生線虫ヴェネズエラ糞線虫感染を防御する
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概要
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腸管寄生線虫の排虫メカニズムの1つとして,感染で誘導されるTh2サイトカインの作用により小腸に集積し活性化された粘膜型肥満細胞(mucosal mast cell : MMC)が,防御効果を発揮することが明らかにされている^<1)>.IL-18はIL-2の共存下でNKT細胞を,IL-3の共存下で好塩基球と肥満細胞を刺激してTh2サイトカインの産生を誘導し,アレルギー反応を増強する^<2〜6)>.今回筆者は,IL-18とIL-2を生体内に投与することで小腸粘膜にMMCが集積するか否か,また腸管寄生線虫ヴェネズエラ糞線虫(Strongyloides venezuelensis : Sv)成虫に対し防御効果を示すか検討した.その結果,C57BL/6野生型(WT)マウスまたはSTAT6欠損(^<-/->)マウスにIL-18(2μg/日)+IL-2(2000U/日)を13日間腹腔内投与すると,IL-18濃度依存的に小腸粘膜にMMCが集積すること,また小腸特異的MMCの活性化の指標となる血清mMCP-1値が上昇することを認めた.一方CD4^+T細胞を除去したWTマウス,あるいはRAG2^<-/->マウスでは,IL-18+IL-2によるMMCの集積とmMCP-1値の増加は認められなかった.次にIL-18によって誘導されたMMCの腸管寄生線虫への生体防御機能を検討する目的で,IL-2+IL18を前投与したWTマウスの十二指腸内にSv成虫を外科的に移入した.その結果,コントロール群では排虫に1週間以上要するのに対し^<7)>,前投与群は移入16時間後にはすべて排虫された.一方,マスト細胞を欠損するWBB6F_1-W/W^vマウスにIL-2+IL-18を投与してもSvは迅速に排虫されなかった.以上の結果からIL-18+IL-2の生体内投与はCD4^+T細胞依存的,STAT6非依存的にSv感染防御機能を備えたMMCを誘導することが明らかとなった.
- 兵庫医科大学の論文
著者
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