潜在財務諸表 : 企業の利害関係者個々の立場からみた財務諸表いわゆる潜在財務諸表に基づく相対的な企業価値とその増減の把握(下澤洋一先生追悼号)
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概要
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本研究ノートで述べる財務諸表は,会社基準に基づく財務諸表のほか,これらを時価で作成するいわゆる潜在財務諸表について利害関係者の立場の違いにより各々情報が異なることを提示している。その特徴は,三点あり,その第一はモジリアーニ・ミラーの命題を修正して,債権者の立場からみる金融負債の時価(価値)と投資家(株主)の立場からみる時価は異なることを説明している。第二は,経営者の経営能力という無形資産について経営者の持分という形で把握したことにある。第三は,これらの結果,財務諸表には一般の利害関係者が利用する会計基準に基づく財務諸表のほか,債権者のための潜在財務諸表,投資家(株主)のための潜在財務諸表,および経営者のための潜在財務諸表があること,そして,そのことは財務諸表は唯一(絶対性)のものではなく,利害関係者個々の立場により複数のものがあるということ(財務諸表の相対性)を提案する。この結果,債権者,投資家(株主)および経営者において各々,当該潜在財務諸表に基づいた意思決定を行うとの仮定をし,とるべき行動を説明している。
- 千葉商科大学の論文
- 2004-03-31