辛亥革命期における日本の対中国民間外交
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概要
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辛亥革命期,多くの日本人が積極的に中国の革命運動に関与し,しかも自分たちの活動を意識的に日本の「国益」と結びつけようとした。後に,一部の当事者が「民間外交」と称し自慢したこうした活動は,政府ルート以外の非政府外交として辛亥革命期における日本の対中国外交の重要なる一翼となった。本稿は外務省外交資料館に保存されている資料を中心として,「一,民間声援団体の設立と世論喚起運動」,「二,中国革命運動への直接的関与」,「三,革命党と日本政府・軍部・財界間のパイプ役として」と三つの部分に分けて,この時期における「民間外交」の主な内容・特徴及びこれらの活動と外務省主導下の正規外交チャンネルとの間の相互作用・制約関係について分析・検討した。上述の分析・検討に基づいて,中国革命党員と共同の政治的理念を持ちまたは中国革命を心から同情しているごく一部の民間人を除けば,ほとんどの日本人軍人や大陸浪人または「有名人」たる政治家・社会活動家らが展開していた「民間外交」活動は,究極のところ,大陸政策の強硬的,隠蔽的,そして欺瞞性の高い実践であり,近代中国における民族・民主主義革命運動にとっては後ろ盾・助力というより,有害性の高い政治活動であるという結論を得た。
- 千葉商科大学の論文
- 2003-12-31
著者
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