人工内耳 : 聾からの聴力回復と社会復帰
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
人工内耳は,両耳とも聾のために補聴器では全く音感が得られないような患者の内耳の蝸牛内に第8神経を電気刺激する電極を埋め込む手術と,手術後の言語聴取のためのリハビリテーションから構成され,聴覚機能の回復と社会復帰を目指す一連のチーム医療である。人工材料の埋め込みによる感覚機能の回復を目指す医療のなかでも,人工内耳は既に世界でも日本でも症例数の多さから,安定した良好な成績の医療として高く評価されている。手術前には,筆談によるコミュニケーションしかできない患者のなかには,手術後にリハビリを受けて聴覚機能を取り戻し,外来予約も自分で電話できるようになる,あるいは音楽会にも出かけられる症例も存在する。高度難聴の患者は社会的にも経済的にも弱者であるため,人工内耳による聴力回復は唯一の福音である。人工内耳は耳鼻科の高度先進医療として開始されたが,保険認可された現在でも施設認可のために各都道府県に申請を行う。その認可基準には,年間の耳科手術数,常勤医数,人工内耳経験医,言語療法のためのスタッフなどが必要とされる。東邦大学医療センター大森病院耳鼻咽喉科は,2005年2月に人工内耳の施設認可を受けた。今後は,城南地区の基幹病院として高度難聴症例に人工内耳治療を積極的に行っていかなければならない。
- 東邦大学の論文
- 2005-09-01
著者
関連論文
- OP-239 腎移植後lgA腎症再発例に対する扁桃腺摘出術の有効性の検討(腎移植/臨床2,一般演題口演,第96回日本泌尿器科学会総会)
- 術前診断は側頸嚢胞であったが術後にPETで口蓋扁桃原発の頸部転移と確認された1症例
- 中耳に発生し全身に進展した小児の横紋筋肉腫の1症例
- 鼓索神経に並走する骨橋形成をみとめた中耳奇形の手術と3次元CT所見
- 真珠腫性中耳炎による内耳瘻孔で生じるめまいを抑えるために手術を行った6症例
- 内視鏡を用いた小児先天性真珠腫の手術
- 3次元CTにて観察した中耳奇形例
- 側頭骨CTにて上半規管裂隙を認めた4症例
- 新生児の喉頭蓋嚢胞による呼吸困難への対応
- 腎不全患者に発症する急性感音難聴 : 聴力改善とステロイド治療の安全性
- 眼窩内側壁骨折に対して外来で行う内視鏡下整復
- 真珠腫性中耳炎で伝音再建に使用したPORPと術後CTから作製した Prototype の比較
- Goldenhar 症候群の内耳奇形の3次元CT画像とワークステーション上での観察
- 正中頸嚢胞に生じたと思われる深頸部膿瘍の開放
- 内視鏡を使用する小児先天性中耳真珠腫の手術
- 鼓膜形成術後に生じる再穿孔に対して外来で冷凍保存筋膜を使用する閉鎖手術
- 内耳道内に再発した真珠腫による顔面神経麻痺症例への内視鏡と Navigation の併用手術
- 腎透析症例に発生した急性感音難聴への治療
- 7. 頸部交感神経鞘腫の1症例(A. 一般講演,第58回 東邦医学会総会)
- 残存聴力耳に発生した小児真珠腫で聴力保存手術のために行った minimally invasive treatment
- 当院における聴覚機能検査結果の電子カルテ化
- 内視鏡下診療
- 顔面神経を耳科手術時に損傷させないために : 内視鏡での観察法と3次元CTの活用
- 内視鏡を用いた中耳手術
- Vitamin Aと耳鼻科疾患--乳頭腫(3例),悪性腫瘍(16例)の自験例と文献的考察
- 嗅覚系の最近のトピックスを基礎と臨床から考える
- 人工内耳 : 聾からの聴力回復と社会復帰
- 歪成分耳音響放射(Distortion Product Otoacoustic Emission)の周波数特異性--純音聴力検査の聴力型との比較
- 甲状軟骨形成術I型・チタンプレートによる軟骨片の固定
- 若手耳鼻科医がアブミ骨手術をできるようになるまでに必要なトレーニング
- 当施設における口蓋扁桃手術のクリニカルパス運用