世界銀行の開発戦略の変遷 : 政府の役割と市場の役割
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概要
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第二次大戦戦後設立された世界銀行の開発戦略は,政府主導の工業化を支援するものであった。この戦略は,世銀が1980年に構造調整融資制度を導入するとともに,政府はできるだけ手を引き,市場メカニズムに任せるべきだとの考え方に転換した。しかしながら,この開発戦略は,期待された経済成長をもたらさず,途上国の貧困を一層深刻化させることになった。このため,1990年代後半になると,途上国における経済成長を通じる貧困の緩和のためには,政府の手による制度の整備が不可欠であると認識が一般的となった。本稿は,開発における政府の役割を巡る開発経済学と国連などにおける議論を踏まえ,世界銀行の開発戦略がどのように変遷してきたかをレビューするものである。
- 近畿大学の論文
- 2003-10-25