モネ《カピュシーヌ大通り》 : 「現在」を描く/描くことの「現在」
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概要
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クロード・モネが一八七三年に制作した 《カピュシーヌ大通り》 は、翌年に開かれたいわゆる「第一回印象派展」に出品された。本作品はパリ大改造によって生まれ変わる首都の様相、すなわち「現在」を描いたものであり、モデルニテ (現代性) を代表する主題を扱っている。この作品には二つの特徴が見られる。ひとつはバルコニーから通りを見下ろす人物が画面右端に描かれていることだが、この人物は都市の特質である遊歩者の眼差し、つまり匿名の視線を担っている。もうひとつの特徴は大胆な筆触表現である。モネは筆触によって、モデルニテの消えやすさや移ろいやすさを描いたのだった。「現在」を描くことが、筆触表現という絵画の新しい方法を画家に求めさせたのにほかならない。当時の批評家の一人はこの作品について、「驚くべき習作」と記し、モネは「運動の瞬間なるもの」を描いたと指摘した。この言葉はモネの絵画について「瞬間」に関連する語が用いられた最初の例だが、それは「現在の表現」の極を指すものであっただろう。もっとも、同じ批評文では、近づいて見ると「判読できない絵の具の削りかすの混沌だけが残る」とも述べられている。筆触は絵画の物質的な側面をあらわにする。「現在」を描くことは、それがもたらした筆触表現を介して、見るものを、そして画家自身を描くことの「現在」と向き合わせるのである。
- 大手前大学・大手前短期大学の論文
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