通訳プロセスの分析と理論的背景 : 認知心理学的観点から
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概要
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通訳者はどのような言語処理を経て訳しだすのだろう.本論文では認知心理学の観点から,通訳者の逐次・同時通訳のプロセスを分析する.近年認知心理学では多くの実験・モデル構築などを通じて,世界的支持を得ているワーキングメモリ仮説や記憶研究などが進んでいる.通訳プロセスは記憶研究の,処理水準・スキーマ・文脈効果の仮説等からうまく説明できる.しかし通訳者の記憶保持はワーキングメモリよりは長く,多量で,かつ長期記憶ほど長期間日常に深くかかわるような記憶ではない.よってこの二つの記憶時間に関する仮説だけでは通訳プロセスをうまく説明できない.ここで筆者は中期記憶という概念を提唱する.
- 2005-03-10