中高年有配偶女性の老後意識における直系家族制規範の変容と持続
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概要
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本研究は,近年の家族研究が都市家族に集中しているなかで,直系制家族から夫婦制家族への家族変動の把握に欠かせない農村家族を研究対象としている。そして,直系制家族規範が根強い地域のなかで,これまで研究の蓄積がみられる東北地方の稲作単作地帯とは農業経営,経営農産物の異なる中部日本の茶生産地域に着目し,同一の家族や家族員の追跡調査を長期間にわたって実施することによって,時間の経過を追ってはじめて明らかになる直系制家族の変動過程を解明したきわめて数少ない実証研究である。本研究の結果,農村家族は家族形態としては直系制家族を維持しているが,農村中高年女性の老後意識には,直系家族制規範意識の変容が認められる側面と直系家族制規範意識を非常に強固に維持している側面が領域を分けて併立していること,直系家族制規範意識の変容が認められる側面については出生コーホート間での差異,出生コーホート内での変化が認められること,老後意識は規範次元の変化と,後継者の結婚難の深刻化やあとつぎの他出などの生活状況次元の変化の両者に規定されていることが明らかになった。
- 2004-03-17
著者
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