E,H.エリクソンとP.L.バーガーによるアイデンティティ論の検討 : 青年期の理解と援助にむけて
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概要
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E.H.エリクソンのアイデンティティ論は、1950年代のアメリカにおいて、既存の社会に対して反抗的な「青年文化」を理解する枠組みとして生み出され、1970年代には日本においても青年心理学の基礎に位置づけられた。しかしながら、1980年代にはいるとエリクソンの理論は急に色あせたものとなり、論壇からは「退場」していった。現代、「ひきこもり」などの青年期の問題について理解・援助していく上で心理と社会を包括的にとらえるパラダイムが必要であると思われるが、エリクソンに代わるものはいまだに登場していない。本論文ではあらたなるパラダイムの可能性を探る第一歩として、エリクソンのアイデンティティ論について概観し、また相対化することを目的として、社会学者P.L.バーガーのアイデンティティ論と比較検討した。エリクソンの理論の限界としては時代的コンテクストを相対化する視点を持ち得なかった点を、バーガーの理論の限界としては結果的に人間から社会への働きかけの可能性が示されていない点を指摘し、新たな理論への可能性としてエリクソンにおけるアクチュアリティの概念に注目した。
- 2005-03-23
著者
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