インドネシア経済復興とIMF支援政策の誤謬
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概要
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アジア通貨危機による最大の被害国はインドネシアであった。1998年のルピアの対米ドル切り下げ率は70%、GDPはマイナス13%で、1999年に他のアジア諸国経済が急回復を示したにもかかわらず、わずかO.8%の成長であった。また、経済危機の過程において、32年に及ぶスハルト体制の崩壊という政治危機が発生し、経済はメルトダウンの状態になった。経済危機に対して、IMFを中心とする経済支援が実施されたが、そのコンディショナリティの厳しさ、インドネシア政府のガバナンスの弱さ、IMF支援政策の誤謬とその実施の遅れなどから、インドネシア経済復興に制約が見られた。銀行や企業の倒産、海外への大量の資本逃避などにより、生産活動も低迷した。経済回復がようやく見え始めたのは2003年である。今後のインドネシア経済成長のためには、グッドガバナンスの確立はもちろん、経済合理性と国際協調にもとづく経済戦略が必要である。
- 2004-03-31