日本人学生へのロシア語教育に関して
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概要
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北海学年大学の学生がロシア国立ヴラヂーミル大学のロシア語夏期短期研修に参加し始めてから10年が経過した。その間に,8〜18名のグループが夏期短期研修に7回参加した。学生たちのロシア留学の目的が,一般的に言って,言語そのものを習得するだけでなく,ロシアについての見聞を広め,ロシア人と交流する事にあるという事を踏まえ,ロシア語環境下にある現地での夏期短期研修においては,学生がこれらの目的をより効果的にたっせられるように教授法が模索されている。授業では,先ず,学生達を新しい環境に早く順応させるために,現代ロシアの生の姿を紹介しつつ,ロシア語の話し言葉の基本パターンを習得させることが考慮されている。また,これまでの授業実践の経験から,日常の話し言葉を学習していく過程において生じる日本人学生が苦手とする典型的パターンが浮かび上がってきたが,授業では,これらの困難点を克服しながら,且つ,この夏期短期研修が日本におけるロシア語学習の補強・修正のための講座であるという原則に則りながら,学習計画が組み立てられている。その為,特に,発音に巻E薄学習は,他の学習に付随する副次的なものであるとしながらも,話し言葉の習得には欠かせないものなので,授業に際しては重要視されている。また,日常の社会生活の場面における対話例を基にして構成された練習問題は,コミュニカティヴな性質の会話練習を伴うようにしている。日本人留学生が苦手とする点・学生同士の共同作業や個人の積極性が要求される対話やゲームを行う能力に欠ける・発話内容の大意を把握できない(発話を構成している単語や構文を完全に理解できている場合でさえも)・テクスト分の論点を理解できない・自分の考えを書いて表現できない・不的確な発音とイントネーション,苦手をする音声の弁別(例えば,Лとp)の存在・名刺の性や格,動詞の体,運動の動詞の誤用・上に列挙した学生達の苦手をする点のいくつかは,ロシア語が日本語と全く異なる言語であるということからうまれたものもあるが,一方,日本の学校における外国語教授法(コミュニカティヴな面の軽視;一定の語彙・文法の学習とペーパーテスト)や授業形態(少人数での実習形式ではなく,講義形式)がロシアと異なることから生じる学生達の戸惑も影響している。さらに,日本人が強く持つ「教師-生徒」,「先輩-後輩」の上下関係も,授業を進める際に障害となることがある。このような障害を克服するためには,今日での授業だけではなく,「教室外の授業(パーティー,遠足,お祭りや料理の準備のための共同作業など)」が重要な意味をもってくる。そして,その結果,人間関係がスムーズになり,学習活動に積極性が生まれる。このように,ヴラヂミール大学での夏期短期研修は,よりよい研修を目指して試行錯誤を繰り返している。さらに,研修をスムーズに運ぶための教科書と参考書の作成が著者達によって進められている。
- 2005-03-25
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