老年期の遷延性うつ病患者に対する集団心理療法の試み
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概要
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老年期の遷延性うつ病はその治療が困難となり、入院が長期化する傾向が強い。しかしその治療法は未だ確立されていない。今回筆者は老年期の遷延性うつ病患者に対する一つの可能性のある試みとして集団心理療法を行った。対象は5名の66歳から76歳までの女性の入院患者で、うつ症状以外に精神病症状や心気症状があった。治療は、週1回で、1回1時間の、合計14回を、クローズドグループで、場を円座にした集団討論の形式で行った。治療初期では共通の問題の探索や相互交流によるメンバー間の情緒的絆が形成され、治療中期ではメンバー間の相互援助による各患者の問題行動の認知と改善が生じ、治療後期では病棟や外泊での行動の改善があった。本療法により各患者の依存・退行や他者や外界に対する防衛的な構えが改善し、筆者はこれらのことをうつ病の遷延化に影響する要因と考察した。また本療法と治療技法の効果について考察した。
- 九州女子大学・九州女子短期大学の論文