ドイツにおける「農家で休暇を」事業に関する研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本論文において主題とするのは,ドイツにおいて実施されている「農家で休暇を(Urlaub auf dem Bauernhof」事業について,これまでの実施過程,ドイツ連邦共和国農業食料省ならびにドイツ農業協会(DLG)における実施体制,上記事業発足後約30年間に渡る事業成果,現時点での民宿経営の実態,さらに今後の推進課題についてとりまとめたものである。基本的な視点として,西ドイツ(当時)で1970年代から始まった「農家で休暇を」(Urlaub auf dm Bauenhof)事業のスタート時点での推進理念や推進体制の分析を行い,次いで,事業開始後ほぼ20年を経た1990年代に,同事業はドイツ国内にどの程度定着し,その間にどのような社会的経済的効果を農家や農村にもたらしたか,を分析した。加えて, 1990年代に入ってから生まれたいくつかの課題をふまえながら,同事業が日本におけるグリーン・ツーリズムの推進と農村振興にどのような示唆を与えているか,を考察した。研究方法としては,既存先行論文からの研究成果を踏まえながら,同事業の実態については,筆者が2001年1月にドイツ国内で行った農家民宿経営者を対象とした郵送によるアンケート調査結果(本文では『2001年配票調査』と記す)を基礎とし,それぞれの結果を中心に考察を加えている。ちなみに『2001年配票調査』は,上記ドイツ農業協会(DLG)が刊行している優良民宿カタログ2000年発行版から,バイエルン州とバーデン・ビュルテンベルグ州の農家民宿経営者に対して郵送による配票調査である。配布数は1000部,有効回収数は323部であった。
- 2003-11-25