RETチロシンキナーゼ : シグナル伝達機構と誘導遺伝子の解析
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概要
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RETチロシンキナーゼは1985年に瘍原遺伝子として単離されて以来,多発吐内分泌腫瘍症(MEN 2A型,MEN 2B型)などの腫瘍性疾患,腸管神経の形成異常によって引き起こされるHirschsprung病の原因遺伝子であることが示され,ヒト疾患と深い関連がある遺伝子として注目された.さらに神経栄養因子として同定されていたGDNF(glial cell line-derivedneurotrophic factor)がリガンドであることが判明し,RETチロシンキナーゼ下流のシグナル伝達機構の詳細な研究が行われている.我々はRETチロシンキナーゼの下流で誘導され器官形成に関わる遺伝子として,GZF1(GDNF inducible zinc finger protein 1)を同定した.GZF1は腎臓の初期発生において,RETチロシンキナーゼの下流で誘導され,尿管芽の形成に重要な役割を示していることが示された.