高齢脳血管障害患者の退院援助における「看護プロセス」に関する研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
高齢脳血管障害患者の退院援助は、近年の入院期間短縮という医療情勢の影響を受けて、高齢者ケアにおける重要な取組課題となっている。本研究の目的は、高齢脳血管障害患者に対する看護師の退院援助に焦点を当て、その過程の中で看護師はどのような観点から何を行っているのか、そのプロセスの全体像を質的帰納的に明らかにすることである。この目的を果たすために、優れた退院援助を行っている病院に勤務する看護師3名を対象とし、高齢脳血管障害患者の退院援助の事例について、看護師として実際に行ったこと、またその際に考えたことを中心にin-depthインタビューを実施し、それを逐語録としてデータ化した。データの分析は、修正版M-GTA(グラウンデット・セオリー・アプローチ)法を用いて行い、その結果、1つのコアカテゴリーと6つのカテゴリー、21の概念を生成した。看護師による高齢脳血管障害患者の退院援助プロセスとは、【生活鳥瞰図からの水先案内】をコアカテゴリーとした看護活動である。このコアカテゴリーは、【退院に向けての航行】、【航路(退院先)の確認】、【帰宅準備支援】の3カテゴリーから構成され、職種間の【潤滑油としてのコラボレーション】や、病院・周辺地域における【在宅への熱意】、そして【在院日数短縮の圧力】という3つのコンテクスト(カテゴリー)に支えられ、また影響を受けていることが明らかとなった。
- 2005-03-15