緑内障濾過手術後の創傷治癒におけるマトリックスメタロプロテアーゼの検討
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概要
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目的 緑内障濾過手術後の創傷治癒過程における細胞外マトリックスの分解機構を理解する目的でマトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)の蛋白質およびmRNA発現,MMP活性と分解活性の局在を検討した。対象と方法 家兎を全身麻酔し,片眼濾過手術を行った。術後1, 3, 7, 14, 120日の家兎の眼球を摘出し実験材料とした。蛋白質発現は免疫組織化学染色法,mRNAの発現はlaser capture microdissection/real time RT-PCR法を用いて解析した。ゼラチナーゼ活性の検出にはgelatin zymography, 活性の局在の検出にはfilm in situ zymography(FIZ法)を用いて検討した。結果 免疫組織染色で術創にMMP-1, 2, 3, 9, MT1-MMP蛋白質の発現が認められ,MMPs陽性細胞は主にマクロファージであった。MMP-9およびMTl-MMPmRNAsの発現も観察された。各MMPの発現は術後3日から14日までみられたが,術後3日目で特に強く発現していた。Gelatin zymographyで術後3日および7日の手術創部に潜在型MMP-2に相当するゼラチナーゼ活性が検出され,術後3日,7日で活性型MMP-2および術創部位に一致してゼラチン分解活性の局在が検出された。結論 緑内障濾過手術後の創傷治癒過程における細胞外マトリックス分解機構にMMPs,特にMMP-2/MT1-MMPが重要な役割を果たしているものと考えられた。