肺癌原発巣FDG集積強度と肺癌リンパ管内浸潤およびリンパ節転移との関係について
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概要
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〔目的〕肺癌縮小手術を含めた肺癌治療法選択の重要な因子としてリンパ節転移とその前段階であるリンパ管内浸潤が挙げられるが,この2因子は術前診断が難しい。一方,F-18 fluorodeoxyglucoseを用いたpositron emission tomography (FDG PET)における肺癌原発巣へのFDG集積の強さ(肺癌FDG集積強度)は肺癌の悪性度を反映する事が知られている。本研究の目的は肺癌リンパ管内浸潤およびリンパ節転移の頻度と肺癌FDG集積強度との関連を検討することであり,次いで肺癌リンパ管内浸潤およびリンパ節転移に関与する主要因子を肺癌FDG集積強度も含めて検討することである。〔対象と方法〕対象は病側肺葉切除と縦隔リンパ節郭清を行った非小細胞肺癌症例146例である。全例術前にFDG PETを施行した。肺癌FDG集積強度は縦隔血中放射性濃度を基準に高・低集積度群の2群に分割した。リンパ管内浸潤およびリンパ節転移は切除標本から病理組織学的に評価した。肺癌FDG高・低集積度の2群間でリンパ管内浸潤およびリンパ節転移の頻度を比較しその関連性を検討した。次いで,この結果を踏まえリンパ管内浸潤およびリンパ節転移に関与する因子として1)年齢,2)性別,3)腫瘍径,4)組織型,5)肺癌FDG集積強度をあげ,多重ロジステイック型回帰分析を用いその関連性の有無について解析した。〔結果〕肺癌リンパ管内浸潤およびリンパ節転移の頻度と肺癌FDG集積強度との間には有意な関連性がみられ,高集積度群は低集積度群より肺癌リンパ管内浸潤およびリンパ節転移の頻度が高いことが判明した。また,肺癌リンパ管内浸潤に関しては肺癌FDG集積強度のみが主要因子であることが判明した。一方,肺癌リンパ節転移に関しては腫瘍径および肺癌FDG集積強度が主要因子であることが判明した。〔結論〕リンパ管内浸潤およびリンパ節転移の有無は肺癌縮小手術を含めた肺癌治療選択の重要な因子であり,リンパ管内浸潤およびリンパ節転移と関連の高い肺癌FDG集積強度は肺癌治療選択の重要な因子となりうる事が示唆された。
- 金沢医科大学の論文