人工真皮と塩基性線維芽細胞増殖因子を用いた難治性創傷の治療 : 実験的創傷モデルにおける検討
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概要
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<目的>骨,軟骨の露出した皮膚欠損創は創床からの血行に乏しいため,その治癒は創縁からの血行に依存している。したがって,良好な肉芽組織を早期に形成することは困難であり,創の治癒は遷延することが多い。このような難治性創傷に対して,人工真皮と塩基性腺維芽細胞増殖因子(bFGF)を併用した臨床治験例が報告されている。そこで,日本産家兎耳介に軟骨露出創を作製し,その併用治療法の有用性を血管新生と肉芽組織形成過程から検討した。<方法>日本産家兎成体の耳介内側に作製した軟骨露出創に人工真皮を貼付し,bFGFを経日的(3日,5日,7日間)に投与した(投与群)。創作製後14日目における創部を肉眼的,光顕的(H-E染色, bFGF免疫染色)ならびに鋳型血管走査電顕的に観察し,人工真皮のみを貼付した創(対照群)と比較,検討した。<結果>投与群はいずれの投与日数においても対照群に比べて良好な肉芽組織の形成が得られた。3日間投与群では下床からの新生血管や軟骨膜の再生は認めなかったが,5日,7日間投与群では創中央に下床から上行する新生血管や軟骨膜の再生を認めた。免疫染色では,対照群といずれの投与群においてもbFGF発現の差は認めなかった。<結論>人工真皮とbFGFの併用療法は,難治性創傷の治療法として非常に有用な方法であると考えられた。
- 金沢医科大学の論文
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