rab38遺伝子異常マウスに生じる肺病変の解析
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概要
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低分子量Gタンパク質Rab38は肺(クララ細胞,肺胞II型上皮細胞),皮膚,肝臓,胃,腎臓に特異的に発現している。最近C57BL/6J (以下wt)マウスに生じた突然変異により眼皮膚型白皮症を呈するchocolate(以下cht)マウスの原因遺伝子がrab38であることが報告された。今回私たちはchtマウスの肺病変を観察し肺におけるRab38の機能を検討した。chtマウスの肺胞II型上皮細胞は大型化した層状封入体を多数含んでいた。肺の形態計測では気腫性肺病変がみられた。全肺組織,層状封入体分画,気管支肺胞洗浄液(BAL)についてWestern blotを行ったところ,肺サーファクタント・プロテインのうちSP-A,SP-Dは変化がなかったのに対し,SP-Bは全肺組織中で増加していたが,BAL液では減少していた。以上よりrab38遺伝子異常では肺胞II型上皮細胞に何らかの輸送障害が起き,SP-Bの貯蔵顆粒である層状封入体の分泌が障害され気腫性肺病変が惹起されると考えられる。これらのchtマウスの肺病変は眼皮膚型白皮症と気腫性肺病変,出血異常を特徴とするヘルマンスキー・パドラック症候群のモデルマウスと似た特徴を有しているところからrab38が常染色体劣性遺伝を示す同疾患の原因遺伝子の一つである可能性が示唆される。
- 金沢医科大学の論文
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