化学放射線療法で発生する放射線粘膜炎に対する合剤の有用性の実験的・臨床的研究
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概要
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[目的]頭頸部悪性腫瘍及び肺癌の治療において放射線療法は重要な位置を占めている。しかしこの領域では急性有害事象として放射線粘膜炎があり,現在これに対する治療法は確立されていない。著者はこれに対する治療薬を研究開発し,化学放射線療法(C-R)に伴う放射線粘膜炎に対する本剤の有効性につき検討した。[対象と方法] (I)動物実験 : C-R群を,生理食塩水投与群(A群),本剤投与群(B群),無処置群(C群)の3群に分け,照射後に生じる変化(食物総摂取量,体重値,口腔死数)を測定し,10日目に組織学的検討を行った。(II)臨床投与 : 放射線粘膜炎を認めた放射線単独照射群120例,およびC-R群101例に本薬を投与し,食事摂取量,血清総蛋白値,アルブミン値,体重の変化を比較した。[結果](I)動物実験 : 全群のマウス体重は照射4日目より減少を認め,B群以外では4日目に口腔死を認めた。B群では7日目に口腔死を認めた。照射10日目の生存率は,A, C群は10%, B群は40%であった。組織学的検討では,A, C群の粘膜面に欠損や潰瘍を認めたが,B群では認めず,逆に粘膜上皮の過形成を認めた。(II)臨床投与 : 放射線療法開始前と比較し,放射線粘膜炎発生時には体重,血清総蛋白値,アルブミン値が有意に低下した。食事摂取量は本剤投与10日目以降に有意な回復を認めた。本剤の治療効果に群間差を認めなかった。また,有害事象も認められなかった。[結論]C-Rに伴う放射線粘膜炎に対しても,本剤は安全で良好な治療効果を発揮するものと期待された。
著者
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