中国における高等教育の国際化に関する考察(経営情報工学科)
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概要
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中国における高等教育の国際化を進展させる要素として次の4つ-経済のグローバリゼーション、情報のネットワーク化、科学技術の現代化、異文化の混合-を挙げることができる。高等教育の海外への開放は、市場経済の構築を打ち出した1978年の開放・改革政策とともに始まったが、特に2000年のWTO(世界貿易機関)への加盟によって高等教育の国際化が一段と進むことになった。では高等教育の国際化は具体的にどのように進められているのか。(1)大学レベルの交流ネットワークの構築 最近では中国の大学は海外の大学との共同運営教育を重視している。中国教育省も海外諸国との共同運営教育に関する政策を打ち出し、海外からの教育資源の導入を図ると同時に中国人が海外へ進出して学校経営にあたることを奨励している。(2)教員レベルの教育・科学上の協力と交流 海外留学の経験のある教員の多くは、短期の海外留学の場合でも素早く科学技術のフロンティア分野を身につけることができた。彼らこそが中国の高等教育の国際化に貢献しているのである。(3)学生レベルの交流 中国は学生の海外留学を重視してきたが、中国の経済力の増大とともに海外への留学だけでなく、海外から留学生を迎え入れる必要があることを理解するようになった。中国への留学生の規模こそが大学の国際化の重要な指標となってきている。最近、いくつかの大学でいわゆる「サンドイッチ」方式あるいは「フェーズ」方式(4年間の大学期間を自国と海外での勉学の抱き合わせにする方式)を国際教育の新方式として採用している。(4)多国籍企業との協力関係の構築WTOへの加盟以来、中国に進出する外国企業数は急増している。これに伴って専門技術を身につけ、外国語に熟達する必要性が高まった。このため大学は外国企業、多国籍企業と協力関係を築く努力を重ねている。これによって学生たちは多国籍企業での実地研究を進め、企業経営の概念、方式、技術を学ぶことができるし、一方、大学は外国企業の経営者や技術専門家を教授として招いて学生に講義をして貰っている。最後に指摘しておくべきことは、中国の高等教育を国際化するからといって、それは決して完全な西欧化を意味するものではないということである「国際化を進める場合、外国との文化的かつ国家的な相違点があることを前提にしなければならない。中国の国家としての特質、教育主権、さらに国家的安全保障を厳守することはいうまでもない。中国は強力な対立者に対しては競争を通じて強力な競争者へと成長していかなければならない。
- 2004-03-18
著者
-
安原 和雄
足利工業大学
-
安原 和雄
Division Of General Education Ashikaga Institute Of Technology
-
王 建華
International Exchange & Cooperation Department, Zhejiang University of Technology
-
鮑 健強
Higher Education Research Institute, Zhejiang University of Technology
-
鮑 健強
Higher Education Research Institute Zhejiang University Of Technology
-
王 建華
International Exchange & Cooperation Department Zhejiang University Of Technology
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